はじめに

現在、Chef Infra Server 18.1.0やInSpecをご利用中のお客様にとって、オープンソース版Infra ServerのEOL(2026年11月、アップデートは10月末終了)は、今後の基盤運用方針に関わる非常に影響の大きなニュースです。

「Chef 360 Platform」とは?Chef DSM とは?

「Chef 360 Platform」と「Chef DSM」の関係性は、一言で表すと「Chef 360 Platformという統合プラットフォームの『内部』に組み込まれた、構成管理の中核サービスがChef DSMである」という関係になります。

それぞれの役割と関係性について、分かりやすく整理します。

1. Chef 360 Platform(全体基盤) インフラ管理、コンプライアンス自動化、ジョブのオーケストレーションといった、Chefのあらゆる機能を一つの場所に統合した次世代のクラウドネイティブ・プラットフォームです。Kubernetesベースのアーキテクチャを採用しており、システム全体に対する高い可用性や自動スケーリング、強力なアクセス制御(RBAC)などの「土台となる基盤環境」を提供します。

2. Chef DSM(中核となるサービス) DSM(Declarative State Management)は、そのChef 360 Platformの内部で稼働する構成データの中央リポジトリサービスです。具体的には、従来の「Chef Infra Server」が担っていた役割(Cookbook、ポリシー、ノードのメタデータの管理など)を最新のプラットフォーム上で引き継いでいます。

3. 2つが組み合わさることで生まれる効果 従来のChef Infra Serverの機能(DSM)が、次世代基盤(Chef 360)のKubernetesエンジン上で稼働することで、以下のような相乗効果が得られます。

  • 無停止に近づく自己修復力: Chef 360基盤の能力により、万が一DSMの処理がダウンしても、システムが自動的に再起動(自己修復)を行い、高い可用性を維持します。
  • 柔軟なスケーリング: 需要に応じてPod(コンテナ)を増減させることで、DSMサービス単体を水平方向にスケールさせることが可能になります。
  • 強固なセキュリティ: DSMのサービスが独立したコンテナとして隔離して実行されるため、攻撃対象領域が縮小され、エンタープライズ要件を満たすセキュリティが実現します。

まとめると、「Chef 360 Platform」という最新鋭の家(プラットフォーム全体)の中で、これまでのインフラ構成管理という最も重要な業務(CookbookやClientの管理)を専門にこなす機能が「Chef DSM」である、と捉えていただくと分かりやすいかと思います。これまで通りノード側にあるChef Infra Clientは、このChef 360上のDSMに対して構成データの要求を行い、設定を受け取ります。


次世代の運用を担う「Chef 360 Platform」2つのアプローチ

お客様の今後の運用方針を決定する上で、以下の特徴が重要なポイントとなります。

  • 関連ツールの継続サポート(Ecosystem Continuity)オープンソース版へのアップデートは終了しますが、Chef Infra Client、InSpec、Workstation等のエコシステムは維持されます。
  • 柔軟な提供形態(Flexible Deployment)管理負担をゼロにするSaaS版と、既存のKubernetes環境(BYOK)や制限されたネットワーク内に構築できるSelf-Managed版の2つが用意されています。

1. 運用の複雑さを最小化する「Chef 360 SaaS」

まず検討されるべき推奨パスは「Chef 360 SaaS」への移行です。フルマネージドのクラウドベースで提供されるため、インフラ構築の複雑さを最小限に抑え、自動アップグレードや組み込みのセキュリティの恩恵を受けながら、最もスムーズに移行を開始できます。

2. ガバナンスを維持する「Self-Managed」

一方で、お客様のセキュリティポリシー上、環境を完全に自社網内に留める必要がある場合は、Self-Managed版を利用して独自環境へ展開するパスが想定されます。既存のCookbookやコンプライアンスプロファイルは、これらの新しいプラットフォーム上でもシームレスにオーケストレーションへ組み込むことが可能です。


移行における課題:検証コスト(Testing & Validation)

一方で課題となるのは、新しいプラットフォームへの移行そのものにかかる検証コストです。お客様の環境規模によっては、既存のノードやCookbookの紐付けを新しいSaaS環境等へ切り替える際、入念なテストと計画的な移行期間を設ける必要があります。

アーキテクチャの比較

現行の構成と移行後のプロセスを整理した比較表は以下の通りです。

比較項目現在(Chef Infra Server 18.1.0等)移行後(Chef 360 Platform)
サポート期限(サーバー)2026年11月EOL(アップデートは10月末まで)継続的なアップデートとプロアクティブな脆弱性管理
Client / InSpecの扱い現在運用中引き続き利用可能(継続的に開発・維持される)
プラットフォームの運用お客様自身による構築・運用・保守SaaS(フルマネージド)または Self-Managed
移行の支援体制商用の移行ガイド、ツール、サポートの提供予定

おわりに:技術サポート・移行支援のご案内

弊社では、今回のようなChef Infra Serverからの移行に不安を抱えるお客様に対し、現在の環境の構成やInSpecの活用状況を詳細にアセスメントし、最適な移行ロードマップをご提案するサポートを実施しております。

  • 「自社環境ではSaaS版とSelf-Managed版のどちらが最適か」
  • 「具体的な移行手順や必要な期間を知りたい」

といったご相談がございましたら、お客様のDevOps推進を支援する弊社の専門チームまで、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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